今回は、鷺沢文香さんのソロ曲、「Bright Blue」「銀河図書館」について書きたいと思います。

例によって、考察と言えるほど高尚なものではありませんが、自分なりの解釈を垂れ流していきます。

 

文香さんについて考えるきっかけとなったのは、何の気なくエピソードコミュを見返していた時、「Bright Blue」の歌詞にある「ファンタジーな世界に逃げてるだけじゃ」という歌詞に疑問を抱いたことです。

文香さんにとってのファンタジーな世界(ファンタジーな世界=文香さんが読んでいる本の中の世界ということを前提とします)とは、果たして逃げ場なのでしょうか。
その点を踏まえて、改めて鷺沢文香という人間について振り返っていきたいと思います。



文香さんは、文学部に属する19歳の大学生。叔父の書店でアルバイトをしていたところスカウトされ、アイドルの世界に足を踏み入れます。
この時に口にした「一期一会」という言葉は、他の場面でも似たようなことを話していたことから、文香さんにとっては生きる上での一つの信条であるとようです。人と話すことが苦手である一方、人や本との出会いを大切にする女の子です。

その後、初めてのレッスンでその過酷さを体感し、自分はアイドルになれる器ではないと言います。

「……私の大好きな本は、魔法の装置です。
安楽椅子に座ってページを捲るだけで、夢の旅路へ往ける」

「……しかし、本当の経験、本当の能力は、
本を読むだけでは身に付かないもの」

 
また、ストーリーコミュでも、知識はあれど経験したことがないことが多いと語っています。
ここまで見ると、本は実際に経験し、自分の能力や現実を知ることを避けた逃げ場のように感じられるかもしれません。

その後、文香さんはグラビア撮影やバラエティ番組のアシスタントなどの仕事をなんとか終え、アイドルとして成長していきます。

また、エピソードコミュ5話では、ファンタジーについての文香さんの考え方が描かれていました。

20200509_014058

20200509_013836


文香さんにとって、様々な出会いやドラマが描かれた物語とは主人公の人生そのもの。そして、物語と同じように、自分の人生も自分という主人公の人生を描いた空想物語。現実とは、自分のためだけの物語だと考えているようです。



20200509_015220

また、シンデレラガールズ劇場では、上のように話しています。
アイドルになってから、ファンタジーな世界は、文香さんにとって以前とは違った形で吸収されるようになりました。
以前は理由として、理屈で考えていた部分が、自身が同じような経験をしたことにより、共感という読み方を覚えます。
この反復が、文香さんの想像力、共感力をより豊かにし、アイドルとしての表現力の向上などに繋がると考えられます。アイドルになった後も変わらず読書を愛し、し続けているように、文香さんにとって読書は単なる逃げ場ではないことが分かります。



おそらく、文香さんにとっての読書とは、いわば「インプット」の場だったのではないでしょうか。
読書を通して得た知識を、実際にアイドルになることにより「アウトプット」する。
本の世界に閉じこもりがちで人目を避けるように生きてきた文香さんは、他の人より少しインプットの期間が長かったのかもしれません。「世界五分前仮説」や「水槽の脳」といった哲学に関する話が自然に出てくることからも分かるように、多くの本を読み、知識を蓄え、多くの主人公たちの人生の物語に触れながらも、自分自身の人生の物語にはあまり目を向けられていなかった。

また、ストーリーコミュでは、文香さんのような知的な美人になりたいというありすに対して、

「私が12歳だったころにできなかった経験を、あなたはしています。
それに、憧れさえ抱きます」

「純粋な、飾らない言葉で思ったことを言えるのも、一つの長所です。
その素直さは、日陰で本を読むだけの私には備わりませんでしたから」

と諭しています。
文香さんとありすは同じクールタイプで知的なイメージがあります。しかし、文香さんから見たありすは、幼くしてアイドルというアウトプットの機会を持った、自分とは対極に位置する女の子といえるのかもしれません。



これまでのことを踏まえて、改めて、「Bright Blue」と「銀河図書館」の歌詞を見ていきたいと思います。

この曲はおそらく、文香さんの人生の物語が「アイドルになる」という出来事を通して大きく変わることを描いた曲と言えるでしょう。

********************

まずは、「銀河図書館」についてです。
この曲は、簡単に言うと、「人目のつかない所で本の世界に閉じこもっていた少女がプロデューサーと出会いアイドルの世界にやってきて、多くの人を笑顔にするお話」だと考えます。

分量の関係上一部は割愛しますが、ひとまず歌詞を見ていきます。

三行と四文字の空を見上げてる
夜空の果ての本棚の国の中

実を言うと、この冒頭の部分が一番解釈が難しく、色々と考えてみたのですがピンとこないというのが正直なところです。
文香さんは四字熟語を使うことが時々あるため、「四文字」はそれをヒントに考えてみると、広大無辺(無限に広くて大きいさま)などが挙げられますが、きっとそういうことではないんだろうなと自分で書きながら思っていました。この部分は今後より深く掘り下げて考えていきたいところです。
夜空の果ての本棚の国の中は、アイドルになるまえに文香さんが閉じこもっていた本の世界、ここでは銀河図書館のことでしょう。
ここでまず、
銀河図書館=きらきらした物語が溢れる世界
と定義します。(定義と言ってもかなりざっくりですが)

何回も書いては消えていった言葉
真っ白な宇宙に尾を描いたほうき星

「何回も書いては消えていった言葉」とは、この曲の視点が文香さんである(後述)ことから考えると、文香さん自身の人生の物語のストーリーでしょう。
多くの物語は、様々な体験や仲間との繋がりを通して進んでいきます。しかし、閉じた世界で生きていた文香さんには、インプットはできても、まだアウトプットはうまくできない。そのため、物語の続きを進めることができない状態を表しているのだと考えます。
そして、ほうき星、=彗星は、太陽系小天体の一つであり、氷や塵などでできているものだそう。
そんなほうき星は、優れた人物が突然現れる時に使われる例えの表現でもあります。
ここでほうき星という表現が使われているのは、アイドルの原石としての姿を示しているのかもしれません。

その後、「空を割いて線を描いた」「この手が今触れる物語」とあるように、文香さんは閉じた世界から外の世界へと羽ばたいていき、自分の物語を進めることになります。

そして、この曲には、後半部分が朗読のような形になっているという大きな特徴があります。

大きな大きな図書館で、女の子が本を読んでいました

この女の子が指しているのは文香さん自身でしょう。
そして、ここから前半の歌唱部分と対応するように、アイドルの世界に飛び出す様子がより具体的に描かれています。

しかし、ある日大きな嵐が来て、
女の子は、知らない星へと落とされてしまったのです

目を覚ますと、そこは四角い空の不気味な街
女の子は怖くて怖くて仕方ありませんでした

そこへ一人の人がやってきて、本を手渡してこう言いました
「さぁ、君の物語を聞かせて!」

この場面の「一人の人」とは、プロデューサーのことだと考えるのが妥当でしょう。
そして、「四角い空の不気味な街」とは事務所のことを指していると考えます。

アイドルの世界にやってきて、最初は不安でいっぱいでしたが、このプロデューサーの言葉により、文香さんの物語は動き出します。

本を読み始めると、たくさんの人がやってきました
わくわく、どきどきしながらみんな物語に夢中でした

「めでたしめでたし」
みんなは笑顔になって、四角い空にも星がきらめきだすのでした


こうしてアイドルになった文香さんは、温かく応援され、多くの人を笑顔にするアイドルになりました。

その中で、プロデューサーはもちろん、他のアイドルたちと出会い、影響しあうストーリーが、鷺沢文香という少女の人生の物語に描かれているのでしょう。

文香さんが主人公の物語を、他の人たちが読み、楽しみ始めたのです。

ここは、今までは「読む側」だけだった文香さんからが、「読まれる側」にもなった転回点だと言えます。

そして、「四角い空にも星がきらめきだすのでした」という部分について。
ここは、四角い空=アイドルになった世界、元々不気味な街だった場所が「銀河図書館」になったことを意味しているのではないかと考えます。
先ほど、銀河図書館=きらきらした物語が溢れる世界と(勝手に)定義しました。
そして、文香さんが最初は恐れていたアイドルの世界は、今や文香さんを取り巻くたくさんのアイドルたちの、そして文香さん自身のきらきらした人生のストーリーで溢れています。
アイドルの世界が文香さんにとって居心地の良い、輝ける場所であってほしいという願いも込めて、このように考えたいと思います。

最後の部分です。

本を渡した誰かが女の子の前にやってきて言いました
「素敵な物語をありがとう。君をずっとずっと、待っていたんだ!」

女の子はどうしてか、顔を真っ赤にしながら、笑いました。

この部分は、二通りの解釈の可能性を挙げたいと思います。

一つ目は、今まで本の世界の主人公を見て楽しんでいた文香さんが、今度は自分が主人公となり、他の誰かが鷺沢文香という物語を読んで笑顔になってくれたことに、恥ずかしく思いつつも、喜んでいるということ。

そしてもう一つは、前半部分の最後にある歌詞、「図書館の銀河から逆さまに落ちた少女がやがて恋をするストーリー」という部分から考えると、この「本を渡した誰か」に恋をしたという可能性もあります。もしくは、運命的な出会いのことを恋と表現しているのかもしれません。

********************

続いて、「Bright Blue」についてです。

この曲については、「銀河図書館」ほどは抽象的な言い回しや比喩がないため、要所のみをピックアップしていきたいと思います。

まずは、この記事で最初に触れた部分。

ファンタジーな世界に
逃げてるだけじゃ
本当の自分も探せないまま


ここまでコミュや「銀河図書館」の歌詞を見てきた上で、やはり「逃げている」という表現は少し引っかかるところがあります。
あくまで文香さん担当ではない人間の戯言程度に聞いていただければ幸いですが、銀河図書館の「何回も書いては消えていった言葉」という言葉からも分かるように、現実、つまり自分の物語から逃げていたというよりは、物語の進め方が分からなかった、もしくは進めるきっかけがなかったのではないかと思います。「銀河図書館」の方が後に出たと言われると返す言葉がありませんが、それ抜きにしても、プロデューサーにスカウトされ少し戸惑ったものの、一期一会を信じる文香さんらしく、思いのほかあっさりと受け入れたと感じました。
文香さんは、プロデューサーとの出会いのように、きっかけを必要としていたのではないでしょうか。

そして、一気に飛んで最後の部分。

星が眩しい空に
飲み込まれそうになる
いつか私も
輝ける日が来るのかな

この部分は、「銀河図書館」の部分でも述べたように、アイドルの世界に入り、周りのきらきらしたアイドルを見て、自分も同じように輝くアイドルになる未来に希望を抱いているのだと考えます。

側にある声に耳を澄ませば
止まった時間動き出すよ


この「側にある声」というのは、支えてくれるプロデューサーのことでしょう。
一人で閉じこもっていた文香さんの時間は、プロデューサーと出会ったことによって動き出したのです。

********************


文香さんにとってアイドルになるということは、それまではうまく表現できなかった自分という物語を、プロデューサーや周りの人々に支えられて、前に進め、読む人に楽しんでもらうこと。

他の誰でもない、自分自身が主人公として、物語を輝かせることだったのでしょう。




以上が「Bright Blue」「銀河図書館」についての所感です。
こじつけ、妄想、矛盾などお見苦しい所はあったかもしれませんが、自分にとってはまだ謎な部分が多かった文香さんについて知るきっかけができ、嬉しい限りです。
一人のアイドルに焦点を当てて考えることの楽しさを改めて感じられました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。